自動化というと、人がやっていた仕事を機械に置き換えること、と思われがちです。けれど現場で実際に起きているのは、置き換えよりも、役割を分けることのほうが多い。これを人機協調と呼びます。
人機協調とは、一つの工程を人と機械で分担すること
どんな工程も「測る・判断する・動かす」に分解できます。人機協調とは、この3つを人と機械で分け合うことです。機械が連続して測り、決められた通りに動かす。人は、機械に任せきれない判断や、例外への対応を担う。一つの工程を、まるごと人かまるごと機械か、ではなく、要素ごとに向いているほうへ振り分ける。それが役割分担です。
前提として、人機協調は「人を減らす」ための妥協ではありません。機械が得意な反復と精度を機械に渡し、人を、人にしかできない判断や対応へ移す。人の役割を、より価値のあるほうへ動かす設計です。
なぜ、全部を機械にしないほうが合うのか
多くの現場で、人機協調が現実的な答えになりやすい理由は二つあります。
一つは、現場が変動するからです。品種も量も日によって変わり、例外が出る。機械は決めた通りを速く正確に繰り返すのは得意でも、決めていない事態への融通は利きません。変動が大きいほど、判断や段取り替えに人が要る部分が残ります。
もう一つは、技術やコスト、安全の制約で、機械に向かない要素がどこかに残るからです。熱や非定型の作業、低頻度の例外処理。これらを無理に機械にすると、装置が複雑になり、高くて壊れやすく、直しにくくなる。だから、向く部分を機械に、向かない部分を人に、と分けるほうが、投資としても理にかなう。
これは私たちだけの見方ではありません。経営工学では以前から、人手不足への答えは「人を減らすこと(省人化)」ではなく「人の役割を、より価値の高いものへ革新すること」だと説かれてきました。人機協調は、その考え方を工程の設計に落とし込んだものです。
人が担うのは、「判断」と「関係」
では、人機協調で人は何を担うのか。大きく二つです。
一つは判断。とりわけ、決まった手順では捌けない例外の判断、最終的に「これでよいか」を決める判断。状況を読み、次に何が起きるかを見通す力は、いまも人の領域です。もう一つは関係。顧客や現場の人との関係、その場の空気を読んだ対応。機械が測り判断し動かすほど、人はこうした「価値の高い、人にしかできない仕事」へ移っていきます。
※ 工程を3要素に分解する考え方は ロボットとは何か、どこまで機械にするかの見極めは 見極めとは何か で扱っています。
役割の境界は、時間とともに動く
人と機械の役割の境界は、固定ではありません。いま人が担っている部分も、計測や制御の技術が進めば、機械に移せるようになる可能性があります。だから人機協調は、一度決めたら終わりではなく、技術の進み方に合わせて、人が担う範囲を見直していけるものです。いまは人が補い、機械が追いついた部分から移していく。その見直しを続けられる設計が、長く効きます。
私たちが一緒に行うのは、この役割分担の設計です。あなたの現場で、何を機械に渡し、何を人に残すのが合うのか。そして、その境界をこの先どう動かしていくのか。そこを見極めます。