CASE

全自動を見送り、工程ごとに自動化のレベルを分けた人機協調

導入食品2026.03.12
測定可能な結果 工数削減
手作業3監視・判断1
人と機械で役割を分担(人機協調)
プロジェクト・プロファイル
業種・規模
北海道の食品製造業(中規模)
現場のタイプ
Flow(流れる工程)
抱えていた課題
高温設備での手作業の負担と、品質を左右する工程の安定化、過大投資の回避

1. 何が起きていたか

芋を下茹でする設備(高温の温水で連続的に加熱する、全長約5mの装置)への、薬剤の投入工程でした。薬剤は3種類あり、それぞれ手作業で溶かし、量を確かめ、投入していました。一つは2分ごとに一定量を入れ、製品の味を抜き取りで測って微調整します。一見すると単純な繰り返しですが、この工程が製品の味と食感を左右し、しかも高温設備のそばでの作業で、繁忙期にはこの工程に3名が張り付いていました。とくに、薬剤をじょうごとバケツでお湯に溶かして入れる作業に、人手が取られていました。

2. 何をしたか

まず、すべてを一度に全自動化する構成は見送りました。代わりに、工程を性質ごとに分けました。連続して濃度を見ながら制御する必要がある工程、決まった量を入れれば足りる工程、人が抜き取りで確認すれば十分な工程、そして今回は手動のままにする工程です。

そのうえで、自動化のレベルを工程ごとに変えました。最も品質に効く薬剤は、濃度を連続で測りながらポンプで自動投入する仕組みにし、製品側の抜き取り検査も残して二重に確認します。次の薬剤は、決まった量を入れる簡単な仕組みにとどめます。残る一つは、自動で測る装置に熱の限界があり、無理に自動化すると冷却設備で大掛かりになるため、今回は手動のまま見送りました。装置は、共通で使える部分の設計をそろえて費用を抑えつつ、薬剤が混ざらないよう専用に分けました。

3. 何が変わったか

手作業で薬剤を溶かして投入していた2名分の作業がなくなりました。残る1名が溶解用のユニットに薬剤を入れれば、あとは濃度を連続で測りながら投入量が自動で調整されます。繁忙期にこの工程へ張り付いていた3名が、1名になりました。作業者の役割は「自分で測って入れる」から「機械を見て判断する」へ移り、高温設備のそばでの危険な手作業も減りました。全部を自動化していれば過大な投資になっていたところを、効く工程だけに絞ったことで、必要な分だけの投資にとどめられました。

4. この事例が示すこと

自動化は、「全部やる」か「やらない」かの二択ではありません。その間に、工程ごとに自動化のレベルを変える、という設計の幅があります。大事なのは、工程を分解して、どこを機械に任せ、どこを人が見るかを仕分けることです。全部を機械に置き換えるのではなく、人と機械で役割を分ける——この仕分けそのものが、投資の良し悪しを決めます。

工程を、自動化のレベルで仕分ける

薬剤投入工程をどう自動化するか
工程を性質ごとに分解する
連続制御が必要
品質に直結 → 連続濃度計+自動注入ポンプ(半自動制御)
定量投入で足りる
決まった量を自動投入(簡易スキッド)
人の確認で十分
製品側で抜き取り測定を継続
今回は見送り
熱の限界で大掛かりに → 手動を継続
見極め
すべてを同じレベルで自動化しない=過大投資を回避
全部を自動化する必要はない。工程ごとに、必要なレベルだけを選ぶ。

全自動でなく、人と機械で役割を分ける

フルオートメーション(全工程を機械に置換)
過大な投資・熱や洗浄の制約で大掛かりに
人と機械で役割を分ける
この事例の設計(人機協調)
機械:連続して測る・決まった量を入れる(可搬スキッド・モジュール式)/人:機械を見て判断する・抜き取りで確かめる
必要な部分だけの投資・高温作業の負担を軽減・品質は安定
設計の工夫
共通で使える部分はそろえて費用を抑え、薬剤が混ざらないよう専用に分ける
自動化と手作業の間に、人と機械で役割を分ける設計領域がある。

この見極めの考え方は 人手不足をAI・ロボットで補うとき、何を選べばいいか で詳しく解説しています。

よくあるご質問

Q.自動化するなら、全部まとめて自動にした方が効率的では?
A.必ずしもそうではありません。工程によって、連続制御が要るもの、決まった量で足りるもの、人の確認で十分なものがあります。すべてを同じレベルで自動化すると、不要な部分にまで投資がかかり、かえって割高になります。
Q.一部を手作業のまま残すのは、中途半端ではないですか?
A.いいえ。自動で測る装置に熱の限界があるなど、無理に自動化すると付帯設備で大掛かりになる工程があります。そこを手動で残すのは、過大な投資を避けるための合理的な判断です。全部を機械にするより、効く工程に絞る方が投資は活きます。
Q.「人機協調」とは、具体的にどういう状態ですか?
A.機械が連続した計測や定量の投入を担い、人が機械を見て判断し、抜き取りで品質を確かめる、という役割分担です。人を置き換えるのではなく、人の役割を「作業」から「監視と判断」へ移します。
Q.どの工程を自動化すべきか、どう見分けるのですか?
A.工程を分解し、それぞれが「連続で制御が要るか」「決まった量で足りるか」「人の確認で十分か」を見ます。品質に直結し、かつ自動化が現実的な工程から優先します。技術的に無理がある工程は、無理に含めません。
Q.高温の設備でも、こうした自動化はできますか?
A.工程によります。高温に耐えるセンサーが選べる工程は自動化でき、装置の耐熱に限界がある工程は手動で残す、という仕分けをします。現場の条件に合わせて、できる範囲を見極めます。
Q.全部を自動化しないと、投資の効果は薄いのでは?
A.逆のことが多いです。効く工程だけに絞ることで、投資額を抑えつつ、品質の安定や作業負担の軽減という成果を出せます。投資の大きさより、どこに投じるかの方が効果を左右します。

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